冬の乾燥対策:健やかな肌を保つためには

冬の訪れと共に、私たちの肌は様々なトラブルに直面します。

この記事では、冬の乾燥から肌を守り、健康的な状態を保つためのスキンケア対策をご紹介します。

適切な保湿の重要性

肌の乾燥を防ぐためには、適切な保湿が欠かせません。

乾燥は肌のバリア機能を低下させ、敏感肌や皮膚炎を引き起こす原因となります。

保湿クリームやローションは肌の水分を閉じ込め、乾燥から守る役割を果たします。

特に、セラミドやヒアルロン酸を含む製品が効果的です。これらの成分は肌のバリア機能を強化し、乾燥によるダメージを軽減します。

また、夜間のスキンケアには、より濃厚な保湿クリームを使用すると良いでしょう。

肌の再生が活発になる夜間に、しっかりと保湿を行うことで、翌朝の肌の状態が大きく改善されます。

 正しい洗顔方法

冬のスキンケアで忘れてはならないのが、正しい洗顔方法です。

熱いお湯での洗顔や、強い洗浄力のある洗顔料は、肌の自然な油分を取り過ぎ、肌を乾燥させてしまいます。

肌に優しいぬるま湯を使用し、低刺激の洗顔料で優しく洗うことが重要です。

洗顔の際は、手で泡をしっかり立て、その泡を使って肌を優しく撫でるように洗いましょう。

力強くこすったり、長時間洗い過ぎたりすることは避けることが大切です。

また、洗顔後は、すぐに保湿ケアを行うことで、肌の乾燥を防ぎます。

内側からのケア

肌の乾燥対策は、外側からのケアだけでなく、内側からのケアも非常に重要です。

十分な水分摂取は肌の水分バランスを整え、乾燥を防ぎます。

意外と意識していないと水分を取っていないことがありますので、アプリの利用を行うのも良いかもしれません。

また、バランスの良い食事も肌の健康に寄与します。

特にビタミンA、ビタミンE、ビタミンB2、B6、C は肌の乾燥に良い事が知られています。

これらのビタミンは肌の健康維持や保護、ターンオーバーの正常化に役立ちます。
食事から採るのであれば、にんじん、レバー、卵に多く含まれるビタミンAや、大豆製品、ほうれん草に多く含まれるビタミンE、レバーや豚肉に含まれるビタミンB2、B6、さらにトマトや野菜に含まれるビタミンCが良いでしょう。

加湿器の活用

室内の湿度を適切に保つことも、冬の肌ケアには欠かせません。
特に冬は暖房により室内が乾燥しやすくなるため、加湿器の使用が効果的です。灯油ストーブに対してエアコン暖房は乾燥しがちになります。
適切な湿度は肌の水分バランスを保ち、乾燥を防ぐ助けになります。
なお、加湿器を使用する際は清潔に保つことが重要です。加湿器内の水は定期的に交換し、清掃もこまめに行うことで、清潔な湿度環境を維持しましょう。

保湿に使う処方薬の種類と役割

乾燥肌の治療において、時には医師の処方による薬剤が必要となることがあります。
これらの薬剤は、特に重度の乾燥や皮膚炎に用いられます。処方薬には以下のような種類があります。

  • 局所ステロイド治療薬: 塗り薬としてのステロイドは、炎症を抑えるために用いられることが多い薬剤です。皮膚の赤み、かゆみ、腫れなどの症状を和らげる効果があります。しかし、長期間の使用や大量使用、塗る場所によっては副作用を引き起こす可能性があるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。
  • 保湿剤: 乾燥肌の治療において最も一般的に使用されるのが保湿剤です。これらは肌に水分を与え、肌のバリア機能を改善する効果があります。
    セラミドやヒアルロン酸を含む処方用保湿剤は処方薬ではありませんので、一般的にはヘパリン類似物質が処方されます。
    これらは保湿作用や血行促進作用、抗炎症作用を持ち、皮膚の保湿や血行促進、炎症の鎮静化などに利用されます。
    ヘパリン類似物質は、保湿剤の成分として幅広い世代に使用されており、油性クリームなどの形で利用されています。
    その他にもワセリンやプロペトが処方されることもあります。プロペトはワセリンをさらに精製したものであり、顔やデリケートな領域にも使うことが可能です。
  • 抗ヒスタミン薬: 乾燥によるかゆみに対しては、抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。これらの薬剤は、かゆみの原因となるヒスタミンの作用を抑え、快適な肌状態を取り戻すのに役立ちます。
  • 漢方: 漢方医学では、乾燥した肌や粘膜に効果的な漢方薬があります。例えば、乾燥肌には「血虚(けっきょ)」という体質が引き金であると考えられています。また、「陰虚(≒水が不足している状態)」の体質の人には、「知柏地黄丸」や「麦門冬湯」などが推奨されています。
  • その他にも乾燥肌に効く漢方薬の種類には以下のものがあります

    • 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ):気になる不調の改善を目的とする漢方薬で、胃腸の調子が悪く栄養不足や貧血傾向がある乾燥肌に適しています。
    • 四物湯(シモツトウ):血を補いながら巡りをよくする効能があり、乾燥肌に効果的です。
    • 当帰飲子(トウキインシ):肌に栄養と潤いを与え、乾燥した肌に適しています。

これらの処方薬は、特定の皮膚の状態に応じて医師が選択します。自己判断での使用は避け、必ず医師の診断と指示に従ってください。肌の乾燥が改善しない場合や、重度の症状が見られる場合は、専門家に相談することが重要です。

さいごに

冬の乾燥は肌にとって大きな挑戦ですが、適切なスキンケアと生活習慣によって、この季節特有の肌トラブルを防ぐことが可能です。

毎日のケアに少しの工夫を加えるだけで、肌の状態は大きく改善されます。

もし肌の乾燥が改善しない場合は、専門家の助言を求めることをお勧めします。私たちのオンラインメディカルクリニックでは、皮膚の健康に関する相談を承っております。冬のスキンケアに関するご質問や悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

監修医

島村泰輝

  • 2012年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
  • 2014年4月 名古屋市立大学放射線科 入職
  • 2015年4月 名古屋市立大学大学院博士課程入学 (専攻:生体防御・総合医学分野)
  • 2019年3月 同大学院卒業、博士号取得
  • 2019年6月 株式会社エムネス 入職
  • 2022年10月 同 Medical Professional Service(医師部門)副本部長
  • 2023年7月 オンラインメディカルクリニック開業

愛知県名古屋市出身。遠隔放射線画像診断を行う傍ら、AI開発、メディカル用プロダクト開発を行う。

医療としてはその他にも内科診療、訪問診療にも従事。医療はITでさらに良くなる事を信条として様々な取り組みを行う。

物理的、時間的に医療が届きにくい層に対して医療を届けるべくオンライン診療を中心としたクリニックを開業。今後は各種専門家とともに、遠隔地であっても質の高い医療を提供するサービスを構築していく。

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