オンライン医療の未来:より便利な治療のための遠隔医療

現代のテクノロジーの進展により、医療の分野でも大きな進歩が見られるようになりました。いまや学校や職場でオンライン面談をしていない人は少数派となってきています。その技術をうまく活用することで、自宅や安心できる場所にいながらにして診療を受けることができる遠隔医療について詳しくご紹介いたします。

遠隔医療は、オンライン上で医師と患者がコミュニケーションを取り、診療を行う新しい形態の医療です。その利点は多岐にわたります。

  • 予約の煩わしさや待ち時間の長さを解消
  • いつでもどこでも医師と相談ができるため、時間とコストの節約
  • 交通の便の悪い地域や高齢者、身体的な制限があってもスマートフォン一つで簡単に診療がスタートできる
  • 薬は自宅にいながら受け取ったり、すぐにほしい時は近所の薬局からもらえる

この記事では、遠隔医療がその普及の一層の推進を見込んでいる理由や、将来的にどのような医療の形態を提供するのかについて説明していきます。遠隔医療の利点と未来への展望についてぜひご覧ください。

遠隔医療とは何か?

現代の技術の進歩により、医学の分野でも大きな進展がありました。自宅から医療を受けることができる遠隔医療について聞いたことはありますか?本日の記事では、遠隔医療が日常の医療ケアをより便利にする方法について詳しく見ていきます。

遠隔医療はオンライン上で医師と患者がコミュニケーションを取り、医療を受ける新しい形態です。その利点は多岐にわたります。
例えば、予約や長い待ち時間の手間を省きいつでもどこでも医師と相談することが可能であるため、時間と移動等にかかるお金を節約できます。遠隔医療は、交通が不便な地域、高齢者、身体的制約のある人々にとっても有用な解決策です。

遠隔医療が今後ますます普及することが期待されている理由や、将来の医療形態について探っていきます。遠隔医療の利点や将来の展望についてお伝えいたします。

遠隔医療のメリット

遠隔医療の利点は数多くあります。
まず一つ目の利点は、医療へのアクセス性の向上です。遠隔医療を利用することで、地理的な制約や交通の不便さによる医療のアクセス障壁を乗り越えることができます。例えば、農村地域や離島など、医療施設が限られている地域に住んでいる人々は遠隔医療を通じて遠隔地の医師とコンサルテーションを行うことができます。

二つ目の利点は、時間とコストの節約です。従来の医療システムでは、医師の予約や待ち時間が長く、患者は多くの時間を費やさなければなりませんでした。しかし、遠隔医療を利用することで、医師とのコミュニケーションをオンラインで行うことができ、予約や待ち時間のストレスを軽減することができます。また、交通費や通院にかかる費用を節約することもできます。なにより時間が大事な現代に生きる人にとって、効率的に時間を使うことができるのは大きなメリットになり得ます。

三つ目の利点は、医療の質の向上です。遠隔医療を利用することで、患者は自宅やオフィスから医師とのコミュニケーションを取ることができます。これにより、患者はリラックスした状態で医師と話すことができ、より正確な情報を提供することができます。さらに、患者は家族と一緒にお話を受けたり、自分一人で受けたりと、病状説明の共有についても自身でコントロールが可能です。また、遠隔医療は医療専門家同士のコンサルテーションも可能にし、患者に最適なケアを提供するための情報共有が容易になります。

遠隔医療の仕組み

遠隔医療の普及に関する統計データを見てみましょう。現在、遠隔医療は急速に普及しており、その利用者数は年々増加しています。2020年に行われた調査によると、アメリカでは遠隔医療の利用者数が前年比で倍増し、特にCOVID-19のパンデミックの影響により、多くの人々が遠隔医療を利用するようになりました。体調が悪いなかで病院に行くことそのものが大きな障壁な上に、コロナウイルス感染のリスクをなるべく減らしたいというのもありました。

また、遠隔医療の利用により、多くの患者が緊急医療や救急外来への訪問を回避することができました。これにより、医療機関の負荷を軽減し、より深刻な症例に対する効果的な対応が可能となりました。

さらに、遠隔医療は患者の満足度も高めています。患者は自宅やオフィスから医師とのコミュニケーションを取ることができ、予約や待ち時間のストレスを軽減することができます。また、遠隔医療は医療のアクセス性を向上させたため、患者はより便利で迅速な医療ケアを受けることができるようになりました。

これらの統計データからも、遠隔医療の普及が進み、その利用者の満足度が高いことがわかります。

参考:新型コロナウイルス感染症に対応する各国の医療提供体制の国際比較研究(21CA2011) 

遠隔医療の将来

遠隔医療は、ビデオ通話やオンラインメッセージを通じて医師と患者がコミュニケーションを取ることで、医療を受けることができます。以下に、遠隔医療の主な仕組みを紹介します。

まず、オンラインビデオ通話を利用した遠隔医療があります。
患者は自宅やオフィスからビデオ通話を通じて医師と対話することができます。医師は患者の症状や状態を確認し、適切な診断や治療を提案することができます。ビデオ通話による遠隔医療は、対面診療に近い形態で医療を受けることができるため、患者にとって非常に便利です。これらのビデオ通話はいまやスマートフォン一つで誰でも受けることが可能です。
最近ではGoogleやZoom などのウェブミーティングツールががアメリカのHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に準拠していることもあり、医療で使うことのハードルは法律的にも下がっています。

次に、オンラインメッセージを利用した遠隔医療があります。患者はオンラインプラットフォームやアプリを通じて医師にメッセージを送ることができます。医師は患者からのメッセージに返信し、症状や状態に基づいて適切なアドバイスや処方箋を提供することができます。オンラインメッセージによる遠隔医療は、日常的な健康相談や処方箋の更新など、簡単な医療ニーズに対応するのに適しています。日本においてはオンライン診療をテキストのみで行うことは不可能ですので、ビデオ通話の補完で使われることが多いです。

そして医療料の支払いもクレジットカードや銀行振り込みなどで簡単に行うことができるため、診察を受けた後はすぐに薬を取りに行く、安静にするなどの対応ができます。

これらの仕組みにより、遠隔医療は患者と医師のコミュニケーションを容易にし、医療のアクセス性を向上させることができます。

遠隔医療の規制とプライバシーの問題

遠隔医療におけるプライバシー保護には、個人情報の適切な収集と利用、およびその安全性の確保が不可欠です。
日本では、個人情報保護法(APPI)に基づいて、個人データの取り扱いに厳格な規制が設けられています。これには、利用目的の明確化、同意に基づく個人情報の収集、データの正確性とセキュリティの維持が含まれます。
また、国内外へのデータ転送には特別な同意が必要です。このように、遠隔医療サービス提供者は、プライバシー保護に関する法的要件を遵守し、患者情報の安全性を保障する必要があります。

APPIに遵守するというのは下記内容を含みます。

  1. 個人情報: 患者の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が適切に保護されること
  2. 健康情報: 診療内容や処方箋などの健康情報が機密性を保つ
  3. 支払い情報: クレジットカード情報や支払い履歴などの支払い情報をセキュアに管理

専門分野別の遠隔医療

遠隔医療の普及に伴い、さまざまな遠隔医療プラットフォームやアプリが開発されています。これらのプラットフォームやアプリは、患者と医師のコミュニケーションをスムーズにし、医療の品質を向上させるためのツールとして機能しています。

その一つに、自分の住んでいる場所から遠く離れた専門家への相談が可能となったことが挙げられます。
患者は自宅から医師と対話し、症状や健康に関する情報を共有することができます。医師は適切な診断を行い、必要な処方箋や助言を提供することができます。
一部の遠隔医療アプリでは、患者が自分の健康状態をモニタリングできる機能も提供されています。例えば、心拍数や血圧の計測、食事や運動の記録などが可能です。
いまではスマートウォッチでいつでも自分の情報を記録することができるようになりました。
これにより、患者は自分の健康管理に積極的に関与し、病気の早期発見や予防に役立てることができます。

遠隔医療のプラットフォームやアプリは、医師や患者がリアルタイムで情報を共有し、医療の効率性を向上させるための優れたツールです。さらに、これらのテクノロジーの進化により、より高度な医療サービスが提供されることが期待されています。

おわりに

遠隔医療はこれまでの医療とどのように関連しているのでしょうか?

遠隔医療は、従来の医療を補完する役割を果たすと同時に、新しい形態の医療を提供しています。

一般的な医療では、患者は医療機関を訪れ、待合室で待つ必要があります。
しかし、遠隔医療を利用することで患者は自宅やオフィスから医師とのコミュニケーションを取ることが可能となり、通院にかかる時間や費用を節約できます。

また、遠隔医療は医師はオンライン上で患者と対話し、症状や健康に関する情報を収集することができ、迅速な診断と治療を行います。

遠隔医療はまた、医療の品質を向上させるためのツールとしても役立っています。例えば、遠隔地に住む患者は、専門的な医療のアクセスが制限される場合があります。しかし、遠隔医療を利用することで、患者は遠隔地にいながら専門医の診断や助言を受けることができます。これにより、患者の医療ニーズに合わせた適切な治療が提供されることが期待されます。

遠隔医療と従来の医療は相補的な関係にあり、患者にとってより便利で効果的な医療を提供するために共存しています。

うまく遠隔医療を活用することでより健康的な暮らしを送ることができるようにサポートできればと考えています。

監修医

島村泰輝

  • 2012年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
  • 2014年4月 名古屋市立大学放射線科 入職
  • 2015年4月 名古屋市立大学大学院博士課程入学 (専攻:生体防御・総合医学分野)
  • 2019年3月 同大学院卒業、博士号取得
  • 2019年6月 株式会社エムネス 入職
  • 2022年10月 同 Medical Professional Service(医師部門)副本部長
  • 2023年7月 オンラインメディカルクリニック開業

 

愛知県名古屋市出身。遠隔放射線画像診断を行う傍ら、AI開発、メディカル用プロダクト開発を行う。

医療としてはその他にも内科診療、訪問診療にも従事。医療はITでさらに良くなる事を信条として様々な取り組みを行う。

 

物理的、時間的に医療が届きにくい層に対して医療を届けるべくオンライン診療を中心としたクリニックを開業。今後は各種専門家とともに、遠隔地であっても質の高い医療を提供するサービスを構築していく。

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