ヒノキ花粉はいつまで飛ぶ?地域別の飛散時期と症状を和らげる方法を解説

ヒノキ花粉の飛散時期とピーク(名古屋・中部地方)

名古屋市を含む中部地方におけるヒノキ花粉の飛散は、例年3月後半から5月頃まで続きます​。

特に飛散のピークは4月中旬前後で、スギ花粉症のシーズン終了後にヒノキ花粉症の症状が強まります​。

ただし、気温などの気象条件によってピークが多少前後することがあり、暖かい年はピークが早まる傾向があります​。

以下に名古屋周辺のヒノキ花粉飛散時期の目安をまとめます。

地域・時期 飛散開始(目安) ピーク時期 飛散終了(目安)
名古屋(中部地方) 3月下旬頃​ 3月下旬~4月上旬​ 5月上旬頃​

※中部地方以外のエリアでも大きくは変わらず、関東や関西でも概ね3月下旬から4月上旬にヒノキ花粉のピークを迎えます​。

ヒノキ花粉症の主な症状とスギ花粉症との違い

主な症状

ヒノキ花粉症の症状はスギ花粉症とほとんど同じで、以下のような症状がみられます​。

  • くしゃみ(連発することも多い)
  • 鼻水(透明でサラサラした水様の鼻汁)
  • 鼻づまり(鼻粘膜の腫れによる)
  • 目のかゆみ・充血・涙目
  • 喉の違和感やかゆみ、咳
  • 皮膚のかゆみ(顔周りなど)
  • 頭痛や倦怠感(鼻づまりによる睡眠質低下などで)
  • 不眠(鼻づまりや痒みで眠れない場合)

スギ花粉症との違い

症状の種類自体はスギ花粉症と共通しており、症状だけで両者を判別するのは困難です​。

スギ花粉とヒノキ花粉はアレルゲン(原因物質)の構造が非常に似ているため、スギ花粉症患者の約70%はヒノキ花粉にも反応するとされています​。

その結果、スギ花粉症シーズンが終わる頃に再びヒノキ花粉で症状がぶり返すケースが多く、春には花粉症のピークが2回来る人もいます​。

違いがあるとすれば次のような点です。

発症時期の差

スギ花粉症は主に2~3月に症状が強く出ますが、ヒノキ花粉症はスギより1ヶ月ほど遅れて3月下旬~4月に症状が現れます​。

スギ花粉症だけの人は4月に入ると症状が落ち着きますが、ヒノキにも反応する人は4月も症状が続きます。

症状の感じ方

個人差がありますが、「ヒノキ花粉のほうが喉の症状が出やすい」と指摘する専門家もいます​。

例えば、スギよりヒノキの飛散時期に咳や喉のかゆみが強まると感じる患者さんもいるようです。

ただし、医学的には典型的な症状に大きな違いはありません。

症状の重なり

スギ花粉症とヒノキ花粉症を両方持つ人では、スギの飛散期とヒノキの飛散期が連続するため長期間つらいことが特徴です​。

スギのみの場合に比べ、症状が出る期間が延びたり、症状がより重症化しやすいとも言われます​。

これは2種類の花粉に連続して曝露され、鼻粘膜の炎症が長引くためと考えられます。

まとめると、ヒノキ花粉症の症状そのものはスギ花粉症と同様ですが、発症時期の違い症状の持続期間の長さが実質的な違いと言えます。

スギ花粉症シーズンが終わっても油断せず、ヒノキ花粉のピークに備えて対策を続けることが重要です。

関連記事:花粉症で鼻水が止まらない!そんな時はオンライン診療がおすすめ

ヒノキ花粉症を和らげる方法

ヒノキ花粉症の症状を軽減するために、以下のような対策が有効です。日常生活で実践しやすいポイントを中心に解説します。

マスク・メガネの着用

マスクの着用

花粉症対策の基本は、花粉を体内に入れないことです。

市販の不織布マスクでも、着用しない場合に比べて約70%の花粉をカットできるとの実験結果があります​。

花粉症対策用の高機能マスクでは約84%も花粉侵入を減らせます​。

重要なのは顔にしっかりフィットさせることで、隙間があると効果が落ちるので注意しましょう​。

適切にマスクを装着すれば、吸い込む花粉量を1/6~1/3程度に減らせるとも言われています​。

なお、マスク内側にガーゼを挟む「インナーマスク」も有効で、さらに鼻に入る花粉を減らす工夫になります​。

メガネの着用

花粉は目からも侵入するため、花粉防止メガネの着用が効果的です。通常のメガネでも装着しない場合に比べて約40%眼に入る花粉を減少させます​。

隙間を防ぐサイドカバー付きの花粉用ゴーグルなら、さらに高い防御効果があります​。

目のかゆみや充血がひどい方は外出時にメガネを着用し、目を保護すると症状悪化の予防になります。

花粉飛散量の多い日の外出制限

飛散が多い日の傾向

花粉は晴れて気温が高い日や、空気が乾燥して風の強い日に多く飛ぶ傾向があります​。

特に昼前後(12~15時)と夕方(18時頃)は花粉が濃くなりやすい時間帯です​。

大量飛散が予想される日は、できるだけ不要不急の外出を控えるのが理想です​。

どうしても外出が必要な場合でも、花粉の多い時間帯の外出は極力避けるようにしましょう​。

外出時の工夫

やむを得ず花粉が多い日に外出する場合は、先述のマスクやメガネの徹底着用に加え、帽子や花粉防止スプレーの併用も有効です。

また、花粉情報(予報)をテレビやネットで確認し、ピーク時間を避けたスケジュール調整を心がけましょう​。

雨上がりの翌日は花粉が飛びやすいので注意が必要ですが、逆に雨天時は花粉が落ち着くため、雨の日に用事を済ませるのも一つの手です。

花粉が付きにくい服の着用

服装の工夫

花粉症シーズンの外出時は、花粉が衣類に付着しにくい素材の服を選びましょう​。

ウールなど毛羽立った生地は花粉が絡みやすいので避け、ナイロンやポリエステル、綿などの表面がツルツルした素材がおすすめです​。

実際、柔軟剤で衣類の静電気を抑えると花粉付着が軽減するとの報告もあります。上着はナイロン製の花粉防止コートなどを活用すると効果的です。

帰宅時の対応

外から戻ったら、玄関先で衣服についた花粉をしっかり払い落とす習慣を付けてください​。衣類用の花粉ブラシや粘着ローラーを使うのも良いでしょう。

花粉シーズン中はコートなど上着はこまめに洗濯し、部屋に持ち込む花粉を減らすことが大切です​。

帰宅後すぐに服を着替え、できればシャワーで髪や肌に付いた花粉を洗い流すと室内への持ち込みを最小限にできます。

室内環境の整備

換気の方法

花粉シーズンに窓を大きく開け放つと、短時間でも大量の花粉が室内に侵入します。

実験では、花粉ピーク時に3LDKの部屋で1時間換気したところ、約1000万個もの花粉が入り込んだと報告されています​。

そのため換気する際は、窓は10cm程度の隙間に留め、レースのカーテンを引いた状態にすると良いです。

これだけで、侵入する花粉量を約1/4に減らせます​。空気清浄機を併用しつつ、短時間のこまめな換気を心がけましょう。

室内の掃除

室内に入り込んだ花粉は床やカーテンに付着して残ります​。放置すると再飛散してしまうため、こまめな掃除と洗濯が重要です。

床はHEPAフィルター付きの掃除機で吸い取り、拭き掃除も取り入れてください。カーテンや寝具カバー類も定期的に洗濯しましょう​。

また、室内を適度に加湿すると花粉やホコリが舞い上がりにくくなるので、加湿器の利用も効果的です​。

市販薬の使用(具体的な製品名を含む)

症状が出ている場合、市販薬(OTC薬)を活用することで症状緩和が期待できます。

ドラッグストアで購入できる代表的な花粉症向け市販薬には以下のようなものがあります​。

第二世代抗ヒスタミン薬(内服薬)

アレルギー症状を抑える飲み薬です。

例として、フェキソフェナジン塩酸塩(商品名: アレグラ®FX)やロラタジンクラリチン®EX)、エピナスチン塩酸塩アレジオン®20)、エバスチンエバステルAL)、セチリジン塩酸塩ストナリニZ)などがあります​。

これらは鼻水・くしゃみ・鼻づまり全般に効果があり、眠気の少ない成分も多く含まれています。(例えばアレグラFXは非鎮静性で知られています​)

症状が出始めたら早めに服用を開始し、シーズン中は毎日継続することで効果を維持できます​。

点鼻薬(鼻噴霧薬)

鼻づまりや鼻水に対して直接作用するスプレータイプの薬です。

市販のものでは、フルチカゾン配合のステロイド点鼻薬(フルナーゼ点鼻薬 等)​や、ベクロメタゾン配合の点鼻薬(ナザールスプレー 等)​があります。

ステロイド点鼻薬は即効性はありませんが、継続使用で鼻粘膜の炎症を抑えて鼻づまりを改善します。

一方、クロモグリク酸ナトリウム配合のAGノーズ アレルカット​などは肥満細胞からの化学物質放出を抑える作用があり、くしゃみ・鼻水に有効です。

点眼薬

目のかゆみ・充血には抗アレルギー点眼薬が有効です。

市販では、クロモグリク酸ナトリウム配合のアルガード®クリア​や、ケトチフェン配合のザジテンAL点眼薬​、アシタザノラスト配合のアレジフェンス点眼薬​などが入手できます。

点眼薬は1日に数回さすことで目のかゆみや涙目を緩和し、コンタクトレンズ装着中でも使えるものもあります。(用法容量は製品ごとに確認してください)

 

これら市販薬は症状に合わせて使い分けることが大切です。

例えば「鼻と目の両方がつらい」場合は内服の抗ヒスタミン薬+点眼薬の併用、「鼻づまりがひどい」場合は内服薬+ステロイド点鼻薬の併用、といった形で対処できます。

市販薬は誰でも購入できますが、用法用量の厳守と、眠気など副作用に注意して使用してください。

なお、2週間ほど市販薬を続けても効果を感じられない場合は無理に市販薬にこだわらず、一度医療機関を受診することを検討しましょう​。

病院での治療(オンライン診療の可否も含む)

受診によるメリット

花粉症の症状が強い場合や市販薬で十分な効果が得られない場合、病院で専門的な治療を受けることをおすすめします。

耳鼻咽喉科やアレルギー科では、症状や生活への影響度合いに応じて医師が最適な治療法を提案してくれます​。

処方薬には市販薬より強力な成分や、症状に合わせた調整投与が可能な点鼻ステロイド・飲み薬があります。

また、医師の診断によりアレルゲン免疫療法など根本治療の選択肢も示されます。

受診のタイミング

鼻や目の症状が2週間以上続く場合や、症状が中等症以上(生活に支障をきたすレベル)の場合は、我慢せず受診を検討しましょう​。

具体的には、「鼻づまりで夜まともに眠れない」「頭痛や倦怠感で仕事・勉強に支障が出ている」「目が腫れるほど充血している」といった状態は重症と言えます。

こうした場合は耳鼻咽喉科やアレルギー科を早めに受診し、適切な治療を受けるのが望ましいです​。

特に鼻づまり型の花粉症は放置すると副鼻腔炎を併発することもあるため​、症状の長期化には注意が必要です。

診療科目の選択

花粉症の診療は通常、耳鼻咽喉科内科眼科などで行われます​。症状に応じて適した科を受診すると良いでしょう。

耳鼻咽喉科(耳鼻科)

鼻や喉の症状を専門に扱う科です。くしゃみ・鼻水・鼻づまりが特につらい場合は耳鼻咽喉科が適しています​。

鼻の内部を診察し、副鼻腔炎の有無もチェックしてくれます。

花粉症とわかれば、目のかゆみ止めの処方なども耳鼻科で対応可能です​。

眼科

目の症状(かゆみ、充血、涙目、まぶたの腫れ)が強い場合は眼科受診も選択肢です。

花粉によるアレルギー性結膜炎で目の症状がひどい場合、眼科では抗アレルギー点眼や症状に応じてステロイド点眼を処方します​。

ステロイド点眼を使う場合は眼圧上昇(緑内障)の副作用チェックが必要なので、眼科で経過を見ながら治療すると安心です​。

アレルギー科

症状が全般に重い場合や長引く場合、アレルギー専門医がいる「◯◯アレルギー科」を受診するのも良いでしょう​。

日本アレルギー学会認定の専門医は耳鼻科・内科・小児科など出身科は様々ですが、ガイドラインに沿った標準的かつ最新の治療を受けられます​。

症状が特に重症の場合は、アレルギー科で免疫療法なども含めた包括的治療を相談してください​。

内科・小児科

身近に耳鼻科がない場合や、全身的な管理が必要な場合は一般内科でも花粉症の治療を行っています​。

小児の花粉症は小児科が子供の体格に合わせた薬剤選択・用量設定をしてくれるため安心です​。

かかりつけの小児科医がいる場合はまず相談すると良いでしょう​。

処方される主な治療

病院で行われる花粉症治療は、基本的には薬物療法が中心です。

第二世代抗ヒスタミン薬や経口ステロイド(重症例で短期使用)、ロイコトリエン受容体拮抗薬、点鼻ステロイド、点眼薬など症状に合わせて組み合わせます​。

これらは市販薬より強力で症状を確実に抑える効果があります。また、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法など)も病院で提案されることがあります。

免疫療法はスギ花粉症などに有効な根本治療ですが、数年に及ぶ継続副作用管理が必要なため、希望する場合は専門医と十分相談してください​。

オンライン診療の活用

最近では花粉症についてオンライン診療を提供するクリニックも増えています。

オンライン診療なら自宅にいながら医師の診察を受けられ、処方薬も自宅にいながら受け取れるため、忙しい方やクリニックへ行くのが困難な方に便利です​。

例えばオンラインメディカルクリニックでも花粉症のオンライン診療を行っており、ビデオ通話で症状を伝えると経験豊富な医師が適切な処方薬を出し、薬は後日自宅へ配送されます​。

オンライン診療の一般的な流れは次のとおりです​。

  1. スマートフォンやPCでクリニックの専用アプリ・ウェブサイトから予約をする。
  2. 予約後、事前に問診票をオンライン入力し、現在の症状やアレルギー歴を伝える​。
  3. 予約日時になったらアプリ等でビデオ通話を開始し、医師とオンラインで面接​。
  4. 症状や困っていることを医師に伝え、必要な質問に答える​。
  5. 医師から診断と治療方針の説明を受け、必要に応じて処方箋が発行される​。
  6. 支払い・処方箋の受け取り方法を確認して診察終了。薬は指定した薬局で受け取るか、自宅へ配送してもらう(オンライン服薬指導を利用する)ことが可能​。

オンライン診療の特徴

自宅で好きな時間に受診でき、待ち時間が少なく感染症の心配もないことが大きなメリットです​。

花粉症は命に関わる疾患ではなくオンライン診療に向いている領域と言われています​。

ただし、オンラインで処方される薬は原則として一般的な内服薬や点鼻・点眼薬などに限られます。注射をしたり処置を伴う治療はオンラインではできません

例えば舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)の開始には、対面でのアレルギー検査や初回投与時の医師立ち会いが必要なためオンラインでは対応できません。

これらの治療を希望する場合は従来通り対面診療を受ける必要があります。

また、症状が重篤な場合や合併症の疑いがある場合もオンラインより直接診察の方が望ましいでしょう。

関連記事:寒暖差アレルギーで咳が止まらない原因とは?セルフチェックと治療薬で対策

ヒノキ花粉症の症状が出やすい人の特徴

ヒノキ花粉症になるかどうかは個人差がありますが、一般に次のような要因を持つ人は花粉症を発症・悪化しやすいとされています​。

アレルギー体質

遺伝的な要因が大きく、両親がアレルギー体質(花粉症、喘息、アトピーなど)の場合は花粉症を発症しやすい傾向があります​。

生まれつきIgE抗体を産生しやすい体質の人は、花粉に対しても過敏に反応しがちです。

生活習慣の乱れ

睡眠不足や慢性的なストレス、偏った食生活は免疫バランスを崩し、花粉症の症状を悪化させる可能性があります​。

規則正しい生活で免疫機能を正常に保つことが予防に重要です​。実際、十分な睡眠と栄養、適度な運動は花粉症対策として推奨されています。

また、飲酒や喫煙の習慣も鼻粘膜を刺激して症状を悪化させるので控えた方が良いでしょう​。

花粉に暴露されやすい環境

花粉の多い地域に住んでいる人や、屋外での活動が多い人(農林業、ガーデニング趣味など)は花粉症になりやすいです​。

例えば、周囲に杉林やヒノキ林が多い地域では花粉飛散量が都市部より膨大であり、若年から症状が出るケースもあります。

都市部でも公園が多いエリアでは花粉の飛ぶ量が多く、居住環境によってリスクが変わります​。

大気汚染の影響

排ガスなどによる大気中の汚染物質(PM2.5やディーゼル粒子、黄砂など)も花粉症発症のリスク因子です​。

大気汚染物質は鼻粘膜を炎症させバリア機能を低下させるほか、花粉と結合すると花粉自体を破裂させて微小化させることがあります​。

微小化した花粉アレルゲンは鼻や喉のフィルターをすり抜けて体内に入りやすく、結果として少量の花粉でもアレルギー反応を起こしやすくなるのです​。

このように大気汚染との相乗効果で都会の花粉症患者が増えているとも指摘されています。

以上のような要因に心当たりがある人は、花粉症の症状が出やすいと言えます。

ただし、「今年までは大丈夫でも来年急に発症する」というケースも珍しくありません。

一度花粉症になった人の体内アレルギーバケツ(許容量)は年々満杯に近づくとも言われ​、生活環境の変化や年齢によってもリスクは変動します。

誰でもなり得るものと考え、日頃から上記の対策や生活習慣の見直しをしておくことが大切です。

花粉症治療における漢方の活用

当クリニックでは漢方(東洋医学)にも特化していることから、花粉症治療に漢方薬を取り入れるメリットについても解説します。

漢方薬は複数の生薬からなる処方で、体質改善や症状緩和を図るものです。

西洋薬とは作用メカニズムが異なり、体全体のバランスを整えることでアレルギー症状を和らげることを目指します​。

花粉症で用いられる代表的な漢方処方と特徴を紹介します。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

花粉症のくしゃみ・鼻水によく使われる漢方です​。構成生薬にマオウやカンゾウ等が含まれ、鼻水を抑え気管支を拡げる効果があります。

実際、スギ花粉症患者の臨床研究で小青竜湯投与群の約半数に症状改善がみられたとの報告があります​。

透明な鼻水がダラダラ出るタイプの方に向く処方で、朝起きたときからティッシュが手放せないような症状を改善してくれることが期待できます​。

また、小青竜湯には抗ヒスタミン薬成分が含まれていないため服用による眠気の副作用がありません​。

そのため、仕事中や勉強中の薬の影響が心配な方にも用いられることがあります。

ガイドラインでもアレルギー性鼻炎に対する漢方薬として小青竜湯が高く評価されており、推奨度Aを付与されています​。

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

葛根湯に川芎(せんきゅう)と辛夷(しんい)という生薬を加えた処方で、鼻づまりの改善によく使われます。

血行を促進して鼻粘膜のうっ血を取る作用があり、鼻の通りを良くしてくれる漢方薬です​。

比較的体力があり肩こりなどを伴う花粉症の方に適すると言われます。軽度~中等度の鼻閉に有効で、鼻水もある程度抑える効果があります。

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)

名前の通り、生薬の辛夷を主体とする処方で、頑固な鼻づまりや慢性副鼻腔炎にも使われる漢方薬です​。

炎症を鎮め、乾燥した粘膜を潤す作用があるため、粘膜が腫れて詰まっているタイプの鼻づまりに適しています​。

葛根湯加川芎辛夷で効果が不十分な場合に用いることが多く、膿性の鼻汁(黄色く粘い鼻水)が出るようなケースにも対応します​。

辛夷清肺湯は鼻や喉の炎症を抑え、粘膜の腫れをひかせることで鼻詰まりを和らげる働きがあります​。

鼻づまりが強く、喉の痛みや乾燥感もあるような花粉症患者に処方されることがあります。

 

これら漢方薬は患者さんの体質(証)を見極めて使い分けることが重要です。

同じ花粉症でも「水様の鼻水が主体なのか」「粘る鼻づまりなのか」「寒気や疲労感の有無」などを総合的に判断して処方を選択します。

また、西洋薬との併用療法も一般的で、抗ヒスタミン薬と漢方を併せて使うことで相乗効果を狙うこともあります​。

例えば、小青竜湯を抗ヒスタミン剤と併用すると、くしゃみ・鼻汁症状や抗ヒスタミン薬による眠気の改善に役立つとの報告があります​。

漢方のメリットは、体質改善による根本治療的な効果が期待できる点と、症状全体を緩和しつつ抗ヒスタミン薬ほどの眠気がない点です​。

一方デメリットとしては、人によって効果の現れ方に差があり、即効性が西洋薬ほど高くないことが挙げられます​。

即効性が必要な場合は西洋薬を中心に、体質から良くしたい場合は漢方を取り入れる、といった形で患者さん一人ひとりに合わせた治療を提案しています。

関連記事:オンライン診療における処方箋のもらい方をわかりやすく解説

まとめ

ヒノキ花粉は3月下旬頃から飛び始めて4月中旬にピークを迎えます。

スギ花粉症のシーズンと入れ替わる形で症状が出るため、スギ花粉症の方は引き続き対策が必要です。

ヒノキ花粉症の症状はくしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどスギ花粉症と同様で、症状だけでの判別は難しいですが、発症時期のズレに注意しましょう。

症状を和らげるには、花粉を体内に入れない生活上の工夫(マスク・メガネ、外出時の服装や帰宅後のケア)と、市販薬の適切な使用が基本となります。

特にマスクは正しく着ければ花粉を大幅にカットできます​。

それでも症状がつらい場合は無理せず病院を受診し、専門的な治療(処方薬や免疫療法)を受けることが肝心です。

症状が2週間以上続く場合や日常生活に支障が出る場合は耳鼻科やアレルギー科を受診しましょう​。

必要に応じて点鼻ステロイドや強力な抗アレルギー薬、免疫療法などが検討されます。

昨今はオンライン診療も活用でき、自宅にいながら花粉症の薬を処方してもらうことも可能です​。

忙しい方や遠方の方はオンラインクリニックを利用し、薬の宅配サービスなどを組み合わせると良いでしょう。

ただし、舌下免疫療法などオンラインでは対応できない治療もある点に注意が必要です。

当クリニックでは西洋薬に加えて漢方薬も取り入れ、患者さんの症状と体質に合わせたオーダーメイドの花粉症治療を心がけています。

小青竜湯などの漢方は症状緩和と体質改善の両面から作用し、眠くなりにくい利点もあります​。

西洋医学と東洋医学を組み合わせることで、つらいヒノキ花粉症シーズンを少しでも快適に乗り切れるようサポートいたします。

花粉症は放置するとQOL(生活の質)の低下を招きますが、適切な対策と治療で症状をコントロールすることは十分可能です​。

本記事の内容を参考に、早め早めの対策を心がけて健やかな春をお過ごしください。症状が改善しない場合やお困りの際は、お気軽に専門医にご相談ください。​

おすすめの記事