日焼け後のケアはいつ何をするべき?正しい対処法とやってはいけないNGケア

日焼け後のケアはいつ何をするべきか

日焼け直後(外出先)

まず最優先すべきは、これ以上の紫外線を浴びないようにすることです。

強い日差しの下にいる場合は直ちに日陰や屋内に移動し、肌を覆う衣類やタオルがあれば使用して、患部をこれ以上悪化させないよう保護します​。

可能であれば、冷たい水道水や濡らしたタオルで肌をやさしく冷却しましょう。

氷水は避け、氷を直接当てるのも避けたいです。(刺激が強すぎて肌を傷める恐れがあります)

冷たい清潔な水で軽く濡らしたハンカチやタオルを当てるだけでも、赤みやヒリヒリ感を軽減できます。

また、この段階で飲料水が手に入る場合は意識して水分補給を始めてください。

日焼けによる炎症で体内の水分が失われやすくなるため、早めに水を飲んで脱水症状を防ぐことが大切です​。

外出先では充分な保湿剤がないかもしれませんが、なるべく避けるべきは、さらに日焼けを続けたり放置することです。

「肌が赤くヒリヒリするな」と感じた時点で適切な応急処置を始めましょう。

帰宅後のケア

自宅に戻ったら、まず患部をしっかり冷やすことから始めます。シャワーやお風呂はぬるめ〜冷水に設定し、ほてった皮膚の熱をとるようにしましょう。

熱いお湯は炎症を悪化させ乾燥も進めるため厳禁です。

シャワーから出たら、タオルでゴシゴシ拭かずポンポンと優しく押さえるように水分を拭き取るのがポイントです。

肌がしっとりと水分を含んでいる状態で、アロエベラや大豆エキスなど、十分な保湿を行うためのローションをたっぷり塗りましょう​。

日焼け後の肌は非常に乾燥しやすいため、入浴やシャワー直後の水分が残っているうちに保湿剤を塗ると効果的です。

アロエジェルはヒンヤリしているので心地よく、炎症を抑える効果も報告されています​。コラーゲンやセラミド配合のジェル・乳液なども肌のバリア回復に役立ちます。

ヒリヒリと痛みが強い場合は、カラミンローション(亜鉛華軟膏)を塗ったり、冷やした濡れタオルを当てたりするのも効果的です。

こうした処置は肌のほてりやかゆみを和らげてくれます。

痛みや腫れがひどい時は、鎮痛剤や抗炎症薬の内服も検討してください。

イブプロフェンやアスピリンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)には炎症を抑え痛みを和らげる効果があり​、日焼け後できるだけ早めに服用すると赤みや腫れが軽減する可能性があります。

患部が特に熱を持ってひどくヒリヒリする場合には、市販の低濃度ヒドロコルチゾン(1%程度)クリームを薄く塗ると炎症が鎮まることがあります。

ステロイド外用薬は炎症を速やかに抑える作用がありますが、日焼け程度で広範囲に漫然と使うのは推奨されず、医師あるいは市販薬を使用する場合は薬剤師と相談の上であくまで一時的に「特にひどい部分だけ」に留めましょう​。

それよりも保湿と冷却を頻回に行う基本ケアが重要です。

なお、痛んだ肌は感染を起こしやすいため、患部は清潔に保つよう心がけてください。

入浴時も石鹸でゴシゴシ洗いすぎないようにし、刺激の弱いボディソープをよく泡立て優しく洗い流す程度にします。

日焼けが重度の場合、水ぶくれ(水疱)が生じることがあります

水疱ができたということは熱傷でいうところの「II度(浅達性Ⅱ度)熱傷」、つまり皮膚が部分的に火傷状態になっている証拠です​。

この場合、決して水疱を自分で潰さないでください​。

水疱は下の新しい皮膚を保護するフタの役割を果たしており、自分で潰すと細菌感染や治癒の遅れにつながります。

水疱部分は清潔を保ちつつ、ワセリン(皮膚保護用の白色ワセリンなど)を薄く塗ってガーゼで覆い、自然に潰れて皮がむけるのを待ちます​。

広範囲に多数の水疱がある場合や、水疱の中身が濁って感染が疑われる場合は早めに医師の診察を受けてください​。

また、十分な水分補給も忘れず行いましょう。日焼けによる炎症反応で、体の水分が皮膚表面に集中してしまい脱水症状を起こしやすくなります​。

そのため、普段より多めに水や電解質飲料を飲んで体の水分バランスを保つことが推奨されています。

アルコール飲料やカフェイン飲料は利尿作用でかえって脱水を招くため、この時期は避けた方が良いでしょう​。スポーツドリンクや経口補水液などが適しています。

翌日以降の保湿・アフターケア

日焼け直後の赤みや痛みは通常数日以内にピークを迎え、その後徐々に落ち着いていきます。

しかし炎症が治まった後も、念入りな保湿ケアを最低1〜2週間は続けることが大切です。

日焼けによる肌の乾燥は、表皮のバリア機能が壊れて水分がどんどん蒸散してしまうことが原因です​。

実際、日焼け後は皮膚内部の水分が不足しカサカサ・ゴワゴワになりがちですので、翌日以降も朝晩を中心にこまめに保湿剤を塗り直しましょう。

特に入浴後や洗顔後は絶好の保湿タイミングです。

ローションだけでなくクリームや乳液など油分を含むものを重ねづけすると、水分の蒸発を防いでしっとり感を長持ちさせられます。

顔の場合は、普段使っている低刺激のオールインワンゲルや乳液を重ね付けしたり、ワセリンをごく薄く上に伸ばして蓋をするのも有効です。

日焼けから数日〜1週間ほど経つと、皮膚が薄くめくれ始める(皮むけ)ことがあります​。

これはダメージを受けた表皮が新しい細胞に生まれ変わる過程で起こる自然な現象です。

皮むけが起きても、決して無理やり剥がさないでください。無理に剥くと下の未熟な皮膚を傷つけ、時に色素沈着や瘢痕の原因にもなります。

皮がめくれてきたら、お湯でふやかした後に柔らかいタオルで優しく拭うように落とし、たっぷり保湿する、という手入れを繰り返しましょう。

日焼け後しばらくは紫外線に対する感受性が高まっているため、治りかけの肌が再び日焼けしないよう十分注意が必要です。

外出時は長袖・長ズボン・帽子などで物理的に日焼け部位を覆い、日焼け止めも忘れず使用してください​。

特に皮むけ直後の新しい皮膚はデリケートで紫外線ダメージを受けやすいため、完全に元の肌に戻るまでは入念な紫外線対策を続けましょう​。

この時期にうっかり再度日焼けしてしまうと、色素沈着(シミや黒ずみ)につながるリスクが高まります。

肌の赤みが引いた後に残ってしまった黒ずみやシミが気になる場合は、美白ケアを取り入れると良いでしょう。

ただし日焼け直後の炎症が強い段階で美白美容液やピーリング剤を使うのは刺激が強すぎるため逆効果です。

あくまで肌が落ち着いてから、低刺激な製品で徐々にお手入れを始めてください。

一般的に、日焼けによる色素沈着は肌のターンオーバー(再生サイクル)によって時間とともに薄くなっていきます。

軽いものであれば数週間〜数ヶ月で目立たなくなりますので、焦らずスキンケアを継続しましょう。

関連記事:ストレスによる食欲不振の原因とリスク:オンライン診療と漢方でできる改善策

日焼けによる肌トラブルと対処法

強い日差しを浴びた後の肌には様々なトラブルが現れます。

主な症状としては急性炎症である赤い日焼け(サンバーン Sunburn)、陳旧性である黒い日焼け(サンタン Suntan)になります。

多くの場合これらは同時に生じておりますが、まず赤く炎症を起こした後、その部分が落ち着いて茶色く色素沈着するという経過をたどります。

以下に、日焼けによる具体的な肌トラブルとその対処法をまとめます。

赤み・痛み(サンバーン)

皮膚が真っ赤になり、触ると熱くヒリヒリ痛む状態です。これは主にUVB波による直接的な細胞ダメージと炎症反応によるものです​。

対処法はとにかく早めに炎症を鎮めることです。冷水シャワーや氷等で熱を冷まし​、先述のようにアロエ含有ジェルなどで患部を保湿・鎮静します。

痛みが強いときは市販鎮痛薬の服用も有効です。赤みは数日以内にひいていきますが、その間は絶対に直射日光に当てないよう注意してください。

炎症が強い場合、患部を心臓より高い位置に保つと腫れの軽減に役立ちます。

顔の日焼けで腫れぼったいときは、仰向けで頭を高めにして寝ると良いでしょう。

なお、痛みが引いても赤みが濃い紫色や黒ずみに変化していく場合は、皮下出血や重度の炎症を起こしている可能性があるため医療機関を受診してください。

水ぶくれ(熱傷性の水疱)

強い日焼けで皮膚に水疱ができることがあります。見た目は火傷(水ぶくれ)と同様で、これはサンバーンが真皮にまで及んだサインです​。

基本的な対処は「潰さず・清潔に・ワセリン保護」です​。

小さな水疱が数個程度であれば自宅で経過を見ても構いませんが、水疱が広範囲に無数にできている場合や、黄色く濁って膿んでいる場合(感染の兆候)は皮膚科を受診してください​。

医療機関では、必要に応じて水疱の専門的な処置(無菌的に除去)や抗生剤の投与が行われます。皮膚科専門医へ受診されるのが良いでしょう。

皮むけ

日焼け後3〜8日ほど経過した頃から、赤みが取れた部分の肌が薄くめくれ落ちてくることがあります。

これは日焼けでダメージを受けた角質層が剥がれ落ち、新しい皮膚が再生しているサインです。無理に剥がさないこと以外に特別な治療はありません。

入浴後に柔らかいタオルで軽くこする程度でポロポロ落ちますので、根気強く保湿を続けながら自然に任せましょう。

皮が剥けている間、新しい皮膚は外界刺激に弱い状態です。強い日差しや摩擦刺激から保護し、保湿ケアでサポートすることが大切です。

剥けた後にピンク色の未熟な皮膚が現れますが、そこも引き続き紫外線対策と保湿を継続してください。

乾燥

日焼け後の肌は一見テカテカしていても、内部は深刻な乾燥状態にあります。

炎症によって皮膚のバリア機能が損なわれ、水分が蒸発しやすくなるためです​。

その結果、皮膚表面がごわついたり粉を吹いたりします。対処法は徹底した保湿です。

ローション・乳液・クリームを重ねたり、ワセリンでフタをするなどして水分の蒸発を防ぎましょう。

尿素やグリセリン、ヒアルロン酸など保湿効果の高い成分を含むボディローションもおすすめです。

入浴時は石鹸の使いすぎに注意し(洗浄成分も乾燥を悪化させます​)、入浴後はすぐに保湿する習慣をつけてください。

また、水分をしっかり摂ることも肌の潤い維持に役立ちます​。

かゆみ

日焼け後、数日経ってからムズムズとかゆみが出ることがあります。

これは日焼けによる皮膚の炎症が落ち着いてくる過程で、剥がれかけの角質や分泌物が神経を刺激したり、乾燥が極度に進んだりするためです。

特に皮がむけ始める頃にかゆみを訴える人が多いです。対処法としては、まず掻かないこと

掻いてしまうと新しい皮膚を傷つけて色素沈着や感染の原因になります。

かゆみが強い部分には、カラミンローションを塗布すると鎮静効果があります。

市販の抗ヒスタミン薬(かゆみ止めの飲み薬)を服用するのも有効です。

夜眠れないほどかゆい場合は寝る前に抗ヒスタミン剤を飲むと良いでしょう。

また、保冷剤や氷水で冷やすとかゆみが紛れることがあります。冷やしすぎに注意しつつ、濡れタオルで優しく冷やしてみてください​。

なお、かゆみが何週間も続く場合や、蕁麻疹のようなブツブツが出てきた場合は、日焼けによるアレルギー反応や別の皮膚疾患の可能性もありますので皮膚科を受診してください。

サンタン(肌の黒ずみ)

日焼け後しばらくして現れる肌の褐色化現象です。

紫外線から肌を守る防御反応としてメラニン色素が増えることが原因ですが、見た目にはシミ・ソバカスや色ムラとなり、美容上悩みの種になることがあります。

サンタン自体は数週間〜数ヶ月かけて徐々に薄くなりますが、早く元の肌色に戻したい場合は美白ケアを取り入れましょう。

具体的な成分やケア方法は次のセクションで詳述しますが、ビタミンC誘導体やナイアシンアミドなどの成分はメラニンの生成・蓄積を抑え、日焼け後の色素沈着のケアに有用です。

注意点として、炎症が残っているうちに美白目的でハイドロキノンなど刺激の強い薬剤を自己判断で使うのは危険ですので避けてください。

美白ケアを開始するタイミングは「赤みやひりつきが完全に治まってから」が鉄則です。

また美白ケア中も紫外線対策を怠ると効果が半減しますので、日焼け止めや日傘でのガードを徹底しましょう。

やってはいけないNGケア

日焼け後のデリケートな肌に対して、逆効果になってしまうお手入れも存在します。

やってはいけないNGケアを押さえて、安全に肌を治しましょう。

刺激の強いスキンケア・コスメの使用

アルコール(エタノール)やメントール、酸(ピーリング剤)、スクラブ粒子など刺激物を含む化粧品は避けた方が良いでしょう​。

日焼け直後の肌はバリア機能が低下しており、普段は問題ない成分でも強い刺激となる場合があります。

同様に、レチノールや高濃度ビタミンCなど作用の強い美容液も、炎症が収まるまでは中断した方が無難です。

これらを無理に使うとヒリヒリ感が増したり、かえって炎症後の色素沈着が悪化する恐れがあります。

シートマスク(フェイスパック)

日焼け後に「保湿しなきゃ」と思うあまり、市販のシートマスクを貼るのは一見良さそうですが、実はお勧めできません。

シートマスクには美容液成分が染み込んでいますが、中には刺激になりうる成分(防腐剤や香料、アルコール等)が含まれることがあります。

またマスクで肌を覆うと患部に熱がこもり、炎症を悪化させる可能性も指摘されています。

特に日焼け直後の炎症が強い段階ではシートマスクは刺激が強すぎるため避け、まずはシンプルな保湿剤でケアする方が安全です。

使いたい場合は、赤みや痛みが引いてから低刺激タイプのものを試してください。

肌をこする行為(擦過刺激)

日焼けした肌をゴシゴシ洗ったり、強くパッティングしたり、無理に皮を剥いたりしてはいけません。

物理的な刺激は炎症を悪化させ、治りを遅らせてしまう恐れがあります。

入浴時にはナイロンタオルでこすったりしないことです。同様に、日焼け後しばらくはピーリングやスクラブも避ける方が良いです。

皮がむけてきても自然に任せ、無理に引っ張らないようにしてください。

熱いお風呂・サウナ

体を温める行為も日焼け肌には逆効果です。高温の湯船に浸かったりサウナに入ったりすると、血管が拡張して炎症が悪化し、ヒリヒリ感が増します。

また熱いお湯は皮膚のうるおいを奪って乾燥を助長します。日焼け後1週間程度はぬるま湯〜微温湯で入浴し、長湯は避けましょう。

体を洗う際も前述のとおり優しく行い、入浴後はすぐに保湿ケアをしてください。

刺激の強い外用薬の使用

市販薬の中には、日焼けによる痛みを抑えるための局所麻酔成分入りスプレーなどが売られています。

しかし、リドカインやベンゾカインといった麻酔薬は人によってはアレルギーや刺激を起こし、日焼け肌には不適切です​。

日焼けの治療に局所麻酔薬の効果は乏しいことが指摘されています。自己判断での薬剤使用に迷う場合は医師や薬剤師に相談するのが安全です。

飲酒・喫煙、カフェインの過剰摂取

スキンケアではありませんが、体の内側からのケアも重要です。

アルコールの摂取は体内の水分を奪い、血管拡張により炎症を悪化させる可能性があります​。

禁止されるものではないですが、早く対処したい場合は日焼け後は飲酒を控え、代わりに水分や電解質を十分に補給しましょう​。

カフェインも利尿作用で脱水を招きますので控えめにします。喫煙も創傷治癒を遅らせることが知られていますので、この機会に減らす努力をすると良いでしょう。

以上のようなNG行為を避け、「冷やす・潤す・休ませる」という基本に徹することが、日焼けダメージから肌を早く確実に回復させるコツです。

日焼け直後〜回復期に効果的な美容成分(抗炎症・保湿・美白)

日焼け後のスキンケア製品を選ぶ際には、抗炎症保湿美白(ブライトニング)の3つの観点で有効な成分をチェックするとよいでしょう。

それぞれ具体的に見ていきます。

炎症を抑える成分

日焼けによる赤みやヒリヒリを鎮める成分として代表的なのは、アロエベラです。

アロエは古くから火傷の民間療法に使われてきた植物で、そのゲルには肌の炎症を和らげる作用があります。

実際、アロエベラを塗布すると火傷の治癒が早まるとの研究結果もあり、日焼け後のスキンケアに有効である可能性が示されています。

市販のアロエジェルやアフターサンローションには、ヒリヒリ感を緩和する効果が期待できます。

その他、カミツレ(カモミール)エキスも抗炎症効果で知られています。

カモミール由来の成分アズレンやグアイアズレンは、日焼けによる炎症を沈静化させる目的で化粧水などに配合されることがあります。

また甘草(カンゾウ)由来のグリチルリチン酸も抗炎症成分として有名で、多くの敏感肌用化粧水や軟膏に含まれています。

これは抗炎症作用を持つため、赤みやかゆみを抑えるのに役立ちます。

近年人気のツボクサエキス(シカ成分)も日焼け肌に適した成分です。

ツボクサ(センテラ・アジアチカ)由来のマデカッソシドなどの成分には、傷の治癒を促進し炎症を抑える働きが報告されており、韓国コスメを中心に「シカクリーム」として日焼け後の肌ケアに広く利用されています。

その他、アラントイン(コンフリー由来の成分)パンテノール(プロビタミンB5)も皮膚の修復と炎症軽減に有効です。

アラントインは皮膚保護剤として医薬部外品に使われていることがある成分であり、日焼け後のひりつきを和らげる市販ローションに配合されています。

パンテノールも肌の生まれ変わりを助ける成分で、日焼け後のリペア用クリームによく使われます。

こうした抗炎症成分を含む製品(例えば「敏感肌用」「アフターサンケア用」と表示のあるもの)を使うことで、日焼け後の肌ダメージを和らげる助けになります。

ただし、製品選びの際はアルコールや香料など不要な刺激物が少ないものを選ぶことが重要です。

保湿に役立つ成分

日焼け後の乾燥した肌を立て直すには、保湿効果の高い成分が欠かせません。まず注目すべきはヒアルロン酸です。

ヒアルロン酸は皮膚の真皮にもともと存在する保湿成分で、水分を大量に抱え込む性質があります。

日焼け後のスキンケアにはヒアルロン酸配合の化粧水や美容液を取り入れると、水分保持力を高めて乾燥によるツッパリ感を軽減できます。

セラミドも重要な保湿成分です。セラミドは皮膚の角質細胞間脂質の主成分であり、バリア機能を支えるレンガとモルタルの「モルタル」に相当するものです。

日焼けダメージでセラミドが不足するとバリアが乱れて乾燥が悪化します。

セラミド(特にヒト型セラミド)を配合したクリームを使うことで、乱れたバリアを補修し水分の蒸発を防ぐ効果が期待できます。

実際、セラミドクリームの塗布はアトピー性皮膚炎などバリア障害を伴う疾患でも保湿・症状改善効果が報告されています。

日焼け後の肌も同様に、セラミドでしっかり保湿してあげると回復が促進されます。

また、ワセリン(白色ワセリン)はシンプルながら非常に効果的な保湿剤です。

油分100%で水分を閉じ込めるため、日焼け後の保護クリームとして最適です。

患部がほてっていなければ、入浴後に化粧水→乳液で保湿した上からワセリンを薄く塗り広げておくと、水分蒸発を防いでしっとり感を長時間保てます。

特に水ぶくれができている部位にはワセリンを塗ってガーゼで覆う処置が推奨されています​。

このほか、コラーゲンやエラスチンなどの保湿・保護成分も配合されることがあります。

これらは分子が大きく肌の深部まで浸透するわけではありませんが、表面で皮膜を作って水分喪失を防ぐ効果があります。

日焼け後のスキンケアでは、化粧品の成分表示にこれらの保湿成分が含まれているか確認し、自分の肌に合うアイテムを選ぶと良いでしょう。

大切なのは「とにかくこまめに潤す」ことであり、高価なものでなくても構いませんので適度な頻度での塗り直しを心がけてください。

メラニン対策の美白成分

肌の炎症が治まってきたら、次は日焼けによる色素沈着(サンタンやシミ)へのケアを検討します。

美白(ブライトニング)成分には、メラニンの生成を抑制したり、既にできた色素沈着を薄くしたりする効果が期待できるものがあります。

代表的なのはビタミンC誘導体です。

ビタミンCそのものは不安定ですが、誘導体(リン酸アスコルビルMgやテトラヘキシルデカン酸アスコルビルなど)にすることで安定かつ浸透性を高めています。

ビタミンCはメラニン合成酵素チロシナーゼの働きを阻害し、また抗酸化作用で紫外線による細胞ダメージを軽減します。

そのため、日焼け後の肌にビタミンC美容液を継続使用すると色素沈着の予防・改善に効果的とされています。

朝晩のスキンケアに取り入れることで、日に焼けてしまった肌の明るさを取り戻す助けとなるでしょう。

ナイアシンアミド(ビタミンB3)も注目の美白成分です。

ナイアシンアミドはメラノサイトから周囲の皮膚細胞へのメラニン移行(メラノソーム輸送)を妨げることで、シミ・色ムラを改善するとされています。

ある研究では5%ナイアシンアミド配合クリームを8週間使用したところ、肝斑(かんぱん)や日焼け後の色素沈着が有意に改善したとの報告があります。

また、ナイアシンアミドには抗炎症作用もあり赤みや黄ぐすみを同時にケアできる利点があります​。

比較的刺激も少なく安定な成分ですので、日焼け後の肌にも使いやすい美白剤と言えます。

アルブチンも日本で古くから使われている美白成分です。

アルブチンはコケモモ由来の成分で、体内で一部がハイドロキノンに変化して働くため穏やかなハイドロキノン様作用を示します。

メラニン産生を抑えることで、シミやくすみを薄くする効果が期待できます。

資生堂が開発した4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)や、カネボウのカモミラET(カミツレエキス由来成分)など、日本の大手メーカー独自の美白有効成分も存在します。

それぞれ作用機序は異なりますが、メラニン生成の経路をブロックすることで日焼け後の肌のトーンアップに貢献します。

さらに、トラネキサム酸も見逃せません。

トラネキサム酸は本来止血剤や抗炎症剤として内服薬に使われる成分ですが、近年美白作用があることがわかり外用剤や飲み薬(シミ治療用)として利用されています。

メラニン産生を誘導するプラスミンという物質の働きを抑えることで、肝斑や炎症後色素沈着を改善する効果があります。

医師の処方が必要な場合もありますが、市販の美白化粧水などにも「m-トラネキサム酸」などの名称で含まれていることがあります。

その他、コウジ酸(麹由来の成分でメラニン合成阻害作用がある)や、リコリスエキス(甘草フラボノイドがメラニンを抑制)なども有効な成分です。

近年では4-n-ブチルレゾルシノール(シミの原因酵素を阻害)やヘキシルレゾルシノールを配合した美容液も登場しています。

これらは強力な作用を持ちながら比較的肌への刺激が少ないとされ、海外を中心に美白成分として注目されています。

美白成分は単体でも効果がありますが、実際の製品では複数組み合わせて配合されることが多いです。

例えば、ビタミンCとビタミンEを同時に配合すると抗酸化シナジーで効果が高まることが知られています。

またナイアシンアミドとトラネキサム酸を組み合わせて総合的にアプローチする処方も見られます。

重要なのは継続使用であり、日焼け後のシミ対策には少なくとも数ヶ月単位でスキンケアを続ける必要があります。

なお、濃いシミや広範囲の色素沈着については市販コスメだけで完璧に消すのは難しい場合もあります。

その際は無理に高濃度の美白剤を重ね塗りして肌荒れを起こす前に、皮膚科で相談することをお勧めします。

(ハイドロキノンやトレチノインなど医療用の外用薬、レーザー治療等の選択肢があります)

関連記事:イライラを和らげる漢方3選──抑肝散・抑肝散加陳皮半夏・柴胡加竜骨牡蛎湯の違いを解説

日焼け後の肌トラブルへの漢方の活用

日焼け後の肌ケアには、西洋医学的なアプローチだけでなく漢方(伝統的な東洋医学)の知見を取り入れることも可能です。

漢方では日焼けによる皮膚の炎症やほてりを「熱毒」「燥熱」などと捉え、体内の余分な熱を冷まし、炎症を鎮め、肌の再生を助ける生薬を用いることがあります。

外用漢方薬の代表例が紫雲膏(しうんこう)です。

紫雲膏は江戸時代の外科医華岡青洲が創製した軟膏で、紫根(シコン。ムラサキ草の根に含まれるシコニンという成分に強い抗炎症・抗菌作用があります)や当帰、胡麻油、蜜蝋などから構成されています。

火傷やあかぎれの治療薬として古くから使われており、日焼けによる炎症や皮むけ部分のケアにも応用されます。

紫雲膏を患部に薄く塗ると、シコンの消炎作用で赤みや痛みが和らぎ、さらに油分が皮膚を保護してしっとりとした環境を保つため治癒が促進されます。

市販もされていますが色が紫で衣服に付く恐れがあるため、ガーゼを当てて使用すると良いでしょう。

内服の漢方薬では、症状に応じていくつかの処方が考えられます。

例えば、日焼けで顔や上半身が赤く火照りイライラするような場合、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)という処方が用いられることがあります。

黄連解毒湯は黄連・黄芩・黄柏・山梔子の4つの生薬からなり、体の「熱」を冷まして炎症を鎮める代表的な漢方薬です。

皮膚の赤みやほてり、のぼせなどを伴う炎症状態に適し、日焼け後の火照りにも効果が期待できます。

また、日焼け後に皮膚のかゆみやブツブツした湿疹が出てしまった場合には、消風散(しょうふうさん)という処方が用いられることがあります。

消風散は十数種の生薬からなる複雑な処方ですが、「風(ふう)を消す」、すなわち皮膚のかゆみや湿疹(東洋医学で風邪が皮膚に留まった状態と考える)を改善する効果があります。

じんましんや湿疹の漢方治療によく使われ、日焼け後のアレルギー様の皮膚炎症状にも応用されます。

さらに、全身の倦怠感や食欲不振を伴うような「夏バテ」的症状がある場合は清暑益気湯(せいしょえっきとう)という処方が使われることもあります。

これは日射病や夏負けの治療薬で、日焼けによる体調不良全般に効果を発揮します。

漢方の適用は個々人の体質や症状によって異なります。

「日焼けには必ずこの漢方」というものがあるわけではなく、症状の現れ方や患者さんの体力・体質を総合的に判断して処方が選ばれます。

したがって、漢方によるケアを検討する場合は漢方に詳しい医師に相談するのが安全です。

オンライン診療を行っているクリニックの中には漢方相談に対応しているところもありますので、気になる方は尋ねてみると良いでしょう。

漢方は即効性という点では西洋医学に劣ることもありますが、体の内側から肌の回復力を高め、全身状態を整えるというアプローチは、日焼け後のケアにおいても有益な補完となり得ます。

トラブルが続く場合は受診が必要?

適切なセルフケアを行っても、日焼けのダメージが大きい場合や体質によっては、症状がなかなか改善しないこともあります。

次のようなケースではオンライン診療ではなく対面での医療機関を早めに受診することを検討してください。

大きな水疱やびらんが生じている

水ぶくれが広範囲にわたる、または潰れて皮膚がただれている場合は、感染症や重度の熱傷の恐れがあります​。

特に黄色い膿が出たり、患部が熱を持って腫れ上がっているときは細菌感染を起こしている可能性があります。

抗生剤の投与や専門的な処置が必要になるため、皮膚科を受診しましょう。

全身症状がある

発熱(38℃以上)、悪寒、倦怠感、頭痛、吐き気・嘔吐、めまいなどの全身症状を伴う場合は、いわゆる「サンポイズニング(重度の日焼けによる全身反応)」や熱中症の可能性があります。

その場合は単なる皮膚トラブルでは済まないため、躊躇せず医療機関で評価を受けてください。

点滴や解熱剤などの全身管理が必要になることがあります。

痛みが激烈である

皮膚の痛みが我慢できないほど強い、鎮痛薬を飲んでも効かない、といった場合も受診を検討します。

強い痛みはそれだけ広範囲かつ深部にダメージが及んでいるサインです。

医療機関ではより強力な痛み止めの処方や、炎症を抑えるステロイド薬の短期投与などが検討されることがあります。

かゆみや湿疹が長引く

日焼け後のかゆみが何週間経っても治まらない、湿疹がどんどん広がっているといった場合は、一度皮膚科医の診察を受けましょう。

湿疹が慢性化すると色素沈着が残る恐れがありますし、痒みが慢性化すると思わぬ皮膚炎(例えば日光アレルギーや湿疹への移行)に繋がることもあります。

医師は必要に応じてステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の処方を行い、炎症をしっかり抑えてくれます。

シミが濃く残ってしまった

美容的な観点ですが、強い日焼け後にシミ・ソバカスが大量発生してしまうことがあります。

セルフケアで薄くならないシミについては、美容皮膚科で相談するとハイドロキノンクリームやトレチノイン療法、レーザー治療など適切な対応策を提示してもらえます。

特に肝斑のように自己流ケアが逆効果になるケースもあるため、プロの判断を仰ぐことが大切です。

乳幼児や高齢者の日焼けも注意が必要です。小さな子供は皮膚が薄くデリケートで、軽い日焼けでも重症化しやすい傾向があります。

機嫌が悪かったり水疱ができているようなら小児科を受診してください。

高齢者は皮膚の再生能力が低下しているため、治りが遅かったり感染症を併発しやすいです。

自己判断せず、念のため皮膚科医に相談する方が安心です。

まとめると、「痛い・つらい・治らない」と感じたら我慢せず専門家の助けを借りることをおすすめします。

日焼けは放っておくと皮膚がんのリスクにもつながるダメージです​。

適切なタイミングで医療機関を受診し、必要な治療を受けることが大切です。

オンライン診療で相談するメリット

日焼け後の肌トラブルについて、「病院に行くほどではないけれど不安」「忙しくて皮膚科に行けない」という場合も多いでしょう。

そんな時に便利なのがオンライン診療の活用です。オンライン診療には次のようなメリットがあります。

自宅から医師に相談できる

スマホやパソコン越しに、自宅にいながら医師の診察を受けられます。

日焼けで肌が真っ赤な時に、人前に出たり長時間外出するのはつらいものです。

オンラインなら、家で安静にしながらプロのアドバイスを仰げます。

早めの対処で悪化を防げる

症状が軽いうちに相談できるため、「もう少し様子を見よう」と放置して悪化するのを防げます。

医師に写真や映像で肌の状態を見せれば、適切なケア方法を指導してもらえます。

例えば「この赤みは○日ほどで引くから保湿を続けて」「この水ぶくれは感染予防に軟膏を塗りましょう」「この状態ではオンラインより対面診療が必要です」といった具体的な助言を受けられ、安心感が得られます。

必要な薬を処方してもらえる

オンライン診療でも、対面と同様に処方箋を出してもらうことが可能です。

症状に応じて、「もう少し強めのステロイド外用薬を使いましょう」「抗生物質の内服が必要です」など判断してもらい、適切な薬剤を入手できます。

薬は後日自宅に郵送されたり、近所の薬局で受け取れたりします。

市販薬では対処が難しいケースでも、オンライン診療を通じて医療用医薬品を使った治療が受けられるのは大きなメリットです。

待ち時間や移動のストレスがない

真夏の日中に皮膚科へ出向くのは、それ自体がまた日焼けのリスクにもなります。

オンライン診療なら日程を予約しておけば、指定の時間に通信を繋ぐだけでOKです。

病院の待合室で長時間待つ必要もなく、時間の節約になります。忙しい社会人や子育て中で外出しづらい方にも利用しやすいでしょう。

複数の選択肢を提案してもらえる

オンライン診療でも必要に応じ漢方薬の処方などを処方されることがあります。

例えば「日焼け後のケアとして、この漢方も試してみますか?」といった具合に、総合的なケアプランを提案してもらえるかもしれません。

漢方はドラッグストアで自分で選ぶのは難しいですが、医師の視点であなたに合った処方を考えてもらえるのは心強いポイントです。

オンライン診療は「手軽さ」と「専門性」の両立が最大の魅力です。

特に日焼け後のケアは時間との勝負な面もありますから、「少しでも早く治したい」「このケアで合っているか不安だ」という方はオンラインで相談してみる価値があります。

もちろん、オンラインで対応困難な重症例では適切な医療機関への受診を促されますので、安全面でも心配いりません。

むしろプロの判断を仰ぐことで、セルフケアでは見落としていた点に気付けたり、安心して自宅療養に専念できるでしょう。

関連記事:オンライン診療を快適に受けるには

まとめ

日焼け後の肌ケアは、初期の冷却と保湿、適切な炎症ケアが肝心です。

【冷やす】【潤す】【守る】を基本に、NG行為を避けながら肌の自己治癒力をサポートしていきましょう。

赤み・痛み・乾燥・かゆみなど症状に応じた対処法を組み合わせることで、肌トラブルは次第に改善していきます。

美白ケアや漢方なども上手に取り入れれば、より早く元の健やかな肌を取り戻せるかもしれません。

もし自己対応に不安がある場合や症状が長引く場合は、遠慮なく医師に相談してください。

近年はオンライン診療という便利な手段もあり、専門的なアドバイスと治療を早期に受けられる環境が整いつつあります。

日焼けは誰にでも起こり得る身近な肌トラブルですが、正しい知識と適切なケアで乗り切り、肌の健康を守りましょう。​

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