ストレスによる食欲不振の原因とリスク:オンライン診療と漢方でできる改善策

現代の働く世代は、仕事や人間関係など日々のストレスにさらされ、「ストレス 食欲不振」に悩む方も少なくありません。

緊張や疲労で食欲がわかず食事を抜いてしまうことが続くと、体に必要な栄養が足りなくなり健康を損ねるリスクがあります​。

食欲不振をそのまま放置すれば体重減少や栄養不足に陥り、さらに体力低下やメンタル面の不調を招く悪循環に陥る可能性もあります。

本記事では、ストレスによる食欲不振の原因やそれによって生じるリスク、そしてその改善方法について解説します。

また、忙しい方でも利用しやすいオンライン診療の利便性と、特に漢方を活用した治療方法について紹介します。

食欲不振を感じている方が健康な生活を取り戻すためのヒントになれば幸いです。

ストレスによる食欲不振とは?

ストレスが食欲に与える影響 – ストレスを感じると私たちの自律神経は緊張状態(交感神経優位)になり、体は「闘争・逃走(ファイト・オア・フライト)」モードに入ります​。

その結果、ストレス時には副腎からアドレナリン(ノルアドレナリン)が放出され、心拍数や血圧が上昇すると同時に消化器への血流が減少し、消化機能が抑えられて食欲が低下します​。

また、脳内ではストレスホルモンであるコルチコトロピン放出因子(CRF)が分泌され、これも摂食中枢を抑制して食欲減退に関与します。

つまり、急性の強いストレス下では「食べたい」という信号自体が弱まってしまうのです。

ストレスへの反応は人それぞれで、一部にはストレス時に過食に走る人もいますが、強い不安や緊張下では逆にまったく食欲がなくなる人もいます​。

特に真面目で緊張しやすいタイプの人は、ストレス源に気持ちが奪われて食事が喉を通らなくなる傾向があります。

「ストレスで胃が締めつけられる」「食べ物を見るだけで胃がもたれる」という経験をする方もいるでしょう。

これは精神的なストレスが続くことで脳の摂食中枢の働きが鈍くなり、空腹を感じにくくなるためと考えられます​。

ストレスが強いと食事がおいしく感じられなくなったり、味覚が落ちることも報告されています。

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ストレス以外で食欲不振を引き起こす要因

ストレスが主な原因でない場合でも、食欲不振を招く要因はさまざまです。代表的なものを挙げます。

身体的な疾患

胃腸の不調(胃炎・胃潰瘍・肝臓や膵臓の病気など)や、慢性的な心臓・肺・腎臓の病気、感染症(風邪や胃腸炎)など​。

お腹の痛みや吐き気、下痢、発熱を伴うと誰でも食欲が落ちてしまいます​。

薬の副作用

抗生物質、抗がん剤、強い鎮痛剤など一部の薬剤は飲み始めに胃腸の不快感や味覚異常を起こし、食欲減退を招くことがあります​。

メンタルの問題

うつ病や不安障害などの精神疾患、神経性食欲不振症(いわゆる摂食障害)も原因として有名です​。

強い悲しみや不安にさいなまれていると脳が空腹信号を感じ取れなくなり、食べ物を受け付けなくなることがあります。

こうした様々な要因によっても食欲不振は生じ得ます。数日で改善する一時的な食欲不振であれば心配いりませんが、原因がはっきりしないまま長引く場合は注意が必要です。

ストレスによる食欲不振が引き起こす健康リスク

食欲不振が続くと、体と心に様々な悪影響が及びます。ここではストレスによる食欲不振が招きうる主な健康リスクを見てみましょう。

体重減少の危険

十分に食事がとれない状態が続けば体重は減少していきます。特に短期間で急激に痩せてしまうと、筋肉や臓器にも負担がかかり危険です。

極端なケースでは準体重の15%以上体重が減少すると女性では生理が止まったり、重症では心不全を併発することもあります​。

貧血や栄養不足

食事量が減ると鉄分やビタミン、タンパク質などの摂取も不足しがちです。

その結果、貧血(鉄欠乏性貧血)になってめまいや倦怠感を招いたり、肌や髪の艶がなくなるなど栄養失調の症状が出ることがあります。

ビタミン不足は免疫機能にも影響し、体調を崩しやすくなります​。

胃腸の不調・消化器系トラブル

食欲不振で食事を控えているときでも、胃酸は分泌されています。空腹の状態が続くと胃酸が胃粘膜を傷つけてしまい、胃痛や胃もたれを感じたり、胃潰瘍を生じることもあります​。

ストレス自体が腸の働きを乱して下痢や便秘などを引き起こす場合もあり、食欲不振と合わせて消化器症状が悪化する恐れがあります。

筋力低下・代謝の低下

栄養不足の状態が長引くと、身体はエネルギー源として筋肉を分解して使わざるを得なくなります。

その結果、徐々に筋肉量が減って筋力が低下し、基礎代謝も落ちてしまいます​。

筋肉が落ちるとさらに疲れやすくなり、余計に食欲が湧かないという悪循環に陥ることもあります。

免疫力の低下

十分に食べられない状態が続くと身体の防御機能である免疫力も低下します​。

エネルギーやたんぱく質、ビタミンが不足すると免疫細胞の働きが鈍り、風邪や感染症にかかりやすく治りにくくなります。

実際、食欲不振で栄養が不足すると二峰性発熱といって風邪が長引くケースも報告されています​。

体力が落ちた状態ではワクチンの効果も十分得られない可能性があり注意が必要です。

このように、ストレスによる食欲不振が慢性化すると全身への影響は深刻です。

健康な体を維持するためにも、早めに対策を講じることが大切です。

ストレスによる食欲不振の原因で起こる吐き気

「ストレスで食欲がない上に、吐き気まで感じる」という声もよく聞かれます。なぜ食欲不振と吐き気が同時に起こるのでしょうか?

背景にはストレスによる自律神経の乱れと胃腸への負担が関係しています。

ストレス状態が続くと交感神経が優位な状態が続き、胃腸の働きが抑えられたり不規則になります​。

消化管の動きが低下すると胃の中に食べ物がなくてもムカムカとした不快感や吐き気を催すことがあります。

また、ストレスによって胃酸の分泌量が増えることも一因です​。

通常、食事をすれば食べ物と混ざって胃酸の刺激は和らぎますが、食欲不振で空腹の時間が長いと胃酸だけが胃に溜まり胃粘膜を荒らしてしまうのです​。

その結果、胃痛や胸焼けだけでなく吐き気を感じることもあります。

さらに強い不安やストレスは、文字通り「胃が縮む」ような感覚を引き起こします。

緊張するとお腹が硬くなったり、喉に詰まる感じがして食べ物を受け付けなくなるのは、ストレスが身体症状として「胃のむかつき」や「喉のつかえ」を生じさせているためです​。

こうした吐き気があると余計に食事を摂る気が起きず、ますます栄養不足に陥るという悪循環に陥りがちです。
対策としては、まずは胃腸を休めつつ水分やミネラル補給を心がけ、少し落ち着いてから消化に良いものを少量ずつ口にするようにしましょう。

ストレスが和らぎ自律神経のバランスが戻ってくれば、吐き気も次第に治まり食欲も戻ってきます。

それでも吐き気が強い場合は我慢せずに医療機関で吐き気止めを処方してもらうことも検討してください。

関連記事:ストレスによる頭痛の原因と対策|セルフケアや薬で解消する方法

ストレスによる食欲不振の改善方法

ストレスが原因の食欲不振を改善するには、自律神経のバランスを整えつつ、徐々に食欲を回復させることがポイントです。

以下に具体的な改善策をまとめます。

生活リズムを整える(自律神経を整える)

不規則な生活や睡眠不足は自律神経の乱れを招き、消化・吸収機能を低下させて食欲不振を起こしやすくなります​。

まずは十分な睡眠を確保し、夜更かしを避けましょう​。

朝昼晩なるべく決まった時間に食事を摂る習慣も、自律神経のリズムを立て直すのに役立ちます。

寝る前の飲食や過度の飲酒は胃腸に負担をかけるので控えてください​。

軽いウォーキングやストレッチなど適度な運動も自律神経を安定させ、ストレス解消に効果的です。

ストレス解消法を実践する

日頃からストレスを溜め込まない工夫も大切です。

リラックスできる趣味の時間を持ったり、入浴や深呼吸で副交感神経を優位にする習慣を取り入れましょう。

例えば腹式呼吸を行うとお腹にしっかり血流が回り、胃腸の働きが促進されます。また、ツボ押しも効果的です。

おへそから指4本上にある「中脘(ちゅうかん)」というツボは食欲不振に効くと言われており、心地よい強さで10秒ほど押すことを3~5回繰り返すと胃の不快感が和らぐことがあります。

一人で抱え込まず誰かに悩みを相談したり、必要に応じて心理カウンセリングを受けることも有効です。

少量でも栄養バランスの良い食事をとる

食欲がないときほど、「食べなければ…」と焦るより食べやすいものから少しずつ栄養を摂る工夫をしましょう​。

例えばスープや味噌汁、ヨーグルト、ゼリー飲料、果物のジュースなど喉ごしの良いものは比較的取り入れやすいはずです​。

一度に量を食べられなくても大丈夫です。

お粥やうどんなど消化に良い主食に、豆腐や白身魚など脂肪分が少なくタンパク質を含むおかずを組み合わせると栄養バランスを確保できます​。

逆に揚げ物や香辛料の効いた刺激物は胃腸に負担がかかるので、調子が悪い間は避けましょう​。

どうしても食事から栄養が摂れないときは、栄養補助飲料(ゼリー飲料や栄養ドリンク)やビタミンサプリメントで不足分を補うのも一つの方法です​。

胃腸を守る工夫をする

胃腸への負担を減らしつつ必要な栄養を摂ることで、少しずつ食欲が戻りやすくなります。

前述のように消化に良い食材を選ぶほか、よく噛んでゆっくり食べる、食後しばらく横にならず背もたれにもたれて休む、といった習慣も胃への負担軽減につながります。

胃がムカムカする時は温かいハーブティー(カモミールや生姜湯など)を少しずつ飲むと胃が落ち着くことがあります。

市販の胃腸薬(胃粘膜保護剤や消化酵素剤)を一時的に使うのも手です。

医療機関を活用する

数日以上にわたり食欲不振が改善しない場合は、我慢せず医療機関を受診しましょう​。

食欲不振の原因が身体的なものか精神的なものかによって受診科が異なりますが、消化器症状があれば内科や消化器科へ、強いストレスや不眠を伴うなら心療内科や精神科への相談を検討してください​。

ストレスによる食欲不振に効果的な薬と漢方

ストレス起因の食欲不振に対して、症状に合わせて薬物療法を行うことがあります。

一般的に西洋医学の薬と東洋医学の漢方薬の両面からアプローチできます。

それぞれどのような治療法があるのか確認してみましょう。

西洋薬による治療

食欲不振の原因や症状に応じて、医師が適切な薬を処方します。

例えば、胃酸過多や胃粘膜の炎症が見られる場合にはH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬といった胃酸を抑える薬が用いられます。

胃の動き(ぜん動運動)が低下している場合には消化管運動促進薬(いわゆる胃腸の働きを助ける薬)を使い、胃もたれや吐き気を改善します。

吐き気が強いときは制吐剤(吐き気止め)を一時的に使うこともあります。

また、ストレスや不安感が強く食欲不振に陥っているケースでは、抗不安薬(精神安定剤)や睡眠導入剤が処方されることもあります。

ただし、これらの薬は根本原因であるストレスそのものを解決するものではないため、あくまで一時的な補助と考え、並行してストレスマネジメントを行うことが重要です。

漢方薬による治療

漢方では、食欲不振の原因や体質に合わせて複数の処方が選択されます。ここでは代表的な漢方薬の例をいくつか紹介します。

六君子湯(りっくんしとう)

胃腸の機能を高めて消化不良や食欲不振を改善する代表的な漢方薬です。

胃がもたれやすく疲れやすい虚弱な体質の人によく用いられ、実際に胃炎、胃アトニー、消化不良、食欲不振などに幅広く効果があることが知られています​。

六君子湯は近年、胃の中で食欲促進ホルモンのグレリン分泌を増やす作用があることも明らかになってきました​。

ストレスで低下した食欲の回復に有用で、食欲不振や胃の違和感が続く場合によく処方されます。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

ストレスによる精神的・身体的な不調を和らげる漢方薬です。

不安感やイライラを鎮めて自律神経のバランスを整える作用があり、更年期障害や月経不順など女性の様々な不定愁訴にも広く用いられる処方です​。

現代ではストレスによる頭痛、めまい、不安、不眠などに悩む人が少なくありませんが、加味逍遥散はそうした心身の不調をあわせて改善する目的で使われています​。

ストレスで気分が落ち込み食欲が出ないようなとき、気の巡りを良くして食欲を取り戻す手助けとなるでしょう。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

体力や胃腸機能を底上げして体質改善をサポートする漢方薬です。

文字通り「中(胃腸)を補い、気を益す」処方で、消化吸収を助けて身体のエネルギー(気)を増やし、病気に対する抵抗力も高めます​。

全身のだるさや食欲不振、倦怠感を訴える虚弱な人によく用いられ、夏バテによる食欲低下や病後・術後の体力低下にも効果的です​。

ストレスで消耗した気力を補い、食欲と元気を回復させる狙いで処方されます。

※上記のほかにも、ストレスで喉に違和感があるタイプには半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、胃痛を伴う場合には安中散(あんちゅうさん)、不眠を伴う場合には柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)など、症状に応じた漢方薬が選択されます。

漢方は患者さん一人ひとりの体質や症状の現れ方に合わせてオーダーメイド的に処方が決まります。

同じ「ストレスによる食欲不振」でも、その人の体質によって最適な処方は異なるため、専門の医師に相談して自分に合った漢方薬を見つけることが大切です。

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まとめ

ストレス社会において「ストレスによる食欲不振」は誰にでも起こり得る身近な不調です。

しかし、食欲不振を放置することは体力や健康を蝕み、さらなる不調を招くリスクがあります。

本記事で述べたように、ストレスによる食欲不振の原因を理解し、生活習慣の見直しやストレス解消法の実践によって自律神経のバランスを整えることが第一歩です。

少しずつでも栄養を補給し、胃腸をケアしながら食欲を回復させていきましょう。

改善が思わしくない場合は、遠慮なく医療の力を借りることも重要です。

最近ではオンライン診療を利用して自宅から気軽に医師に相談でき、必要に応じて漢方薬などの処方を受けることも可能です。

オンライン診療と漢方の組み合わせは、忙しい方や通院が難しい方でも自分に合った治療を継続しやすい方法と言えます。

漢方薬はストレスで乱れた体調を整え、食欲不振の改善や根本的な体質改善に役立つ心強い味方です。

毎日の食事は健康の基本です。ストレスによる食欲不振を軽視せず、できることから対策を始めてみましょう。

規則正しい生活と適度なストレス発散、必要に応じた医療(西洋薬・漢方薬)の力で、少しずつでも食欲と元気を取り戻すことができます。

もし「なんだか食べられない」という日が続いてつらいと感じたら、一人で抱え込まずに専門家に相談してみてください。

オンラインメディカルクリニックでは、ストレスや食欲不振で悩む方に寄り添い、漢方も活用しながら改善へのお手伝いをいたします。

便利なオンライン診療を賢く活用し、心身の健康を取り戻して豊かな毎日を送りましょう。

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