オンライン診療における医薬品処方の制限と対応薬について
オンライン診療は利便性が高く時間や場所に縛られずに医療サービスを受けられるメリットがありますが、医薬品の処方には一定の制限が存在します。
特に精神疾患に関連する薬剤には慎重な管理が求められるため初診時に処方できる薬剤は限定されています。
初診時に処方できない医薬品
オンライン診療では特に以下の医薬品群は初診時には処方が認められていません:
- 第一種: 高リスク薬剤とされる、例えばリタリンやコンサータ(ADHD治療薬)、モディオダール(睡眠障害治療薬)など。
- 第二種: 主に麻酔薬や強力な鎮痛剤、例えばイソミタールやレペタンなど。
- 第三種: 幅広い抗不安薬や睡眠導入剤、例えばソラナックスやセレナール、ユーロジンなど。
これらの薬剤は副作用のリスクや依存性の可能性が高いため、処方には対面での診察を必要とします。
参考:病院・診療所における向精神薬取扱いの手引き(厚生労働省) ※PDFになります。5-10ページが参考になります。
初診時に処方可能な医薬品
一方で向精神薬に指定されていない薬であればオンライン診療でも処方が可能になります。
- デエビゴ(レンボレキサント)
- ベルソムラ(スボレキサント)
- ロゼレム(ラメルテオン)
など、一部の睡眠障害治療薬はオンライン診療でも処方が可能です。これらは比較的安全性が高く、副作用のリスクが低いとされています。
デエビゴやベルソムラはオレキシン受容体拮抗薬といい、自然な眠りを誘導する作用があります。中途覚醒や早朝覚醒、熟眠障害に有効であり入眠障害にも効果が期待でき、依存性がほぼ見られないことで知られています。
デエビゴは主に寝付きが悪い人、ベルソムラは途中で起きてしまう人に処方することが多いですが、体調や薬との相性もあるので適宜相談しながら調整することが多いです。
デエビゴやベルソムラは重度の肝障害を持っていたり、抗真菌薬、抗菌薬、抗ウイルス薬を飲んでいる方にはお出し出来ないことがあります。
ロゼレムはメラトニン受容体という、睡眠リズムを正すような作用があります。昼夜逆転してしまったり、飛行機などで時差ぼけが発生している時にも使います。即効性はありませんが依存症がなく、比較的安全な薬です。
ただし、肝障害を持っていたり、抗うつ薬を飲んでいる方には処方ができませんのでご注意ください。
処方の期間と条件
初診時はどの種類の医薬品も最大7日分しか処方できません。
しかし再診以降では、通常の診療通りに処方することが可能です。
ただし2024年4月から再診でも
- 問診等による過去の履歴
- 職場での健診や人間ドックの結果
- PHR(personal health record)やお薬手帳など
- 他院の紹介状や血液検査結果等
といった患者さん自身の情報を共有いただけない場合、再診でも初診と同じく7日の処方制限がかかるようになりました。
ぜひ初診時には問診票に詳細な内容を記載いただくと共に、過去の検査歴があれば共有いただけましたら幸いです。
その上で患者様の状態を定期的に評価しながら適切な治療を継続できるようにしています。
精神科初診時の対応
当院は精神科専門医による診察は行っておりません。
一般内科としての対応になりますので悪しからずご了承いただきますようお願いいたします。
まとめ
オンライン診療は便利ですが特定の医薬品には処方の制限があります。
初診での限定的な処方を理解し必要に応じて対面診察を受けることが重要です。
何かご不明点があれば、当クリニックまでお気軽にお問い合わせください。
正しい治療の選択肢を一緒に考え、サポートいたします。
監修医
島村泰輝
- 2012年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
- 2014年4月 名古屋市立大学放射線科 入職
- 2015年4月 名古屋市立大学大学院博士課程入学 (専攻:生体防御・総合医学分野)
- 2019年3月 同大学院卒業、博士号取得
- 2019年6月 株式会社エムネス 入職
- 2022年10月 同 Medical Professional Service(医師部門)副本部長
- 2023年7月 オンラインメディカルクリニック開業
愛知県名古屋市出身。遠隔放射線画像診断を行う傍ら、AI開発、メディカル用プロダクト開発を行う。
医療としてはその他にも内科診療、訪問診療にも従事。医療はITでさらに良くなる事を信条として様々な取り組みを行う。
物理的、時間的に医療が届きにくい層に対して医療を届けるべくオンライン診療を中心としたクリニックを開業。今後は各種専門家とともに、遠隔地であっても質の高い医療を提供するサービスを構築していく。